ガラクタだけが人生だ

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ジュリオ最後の冒険

瀬戸内海に面した三原という町に住んでいるのですが、以前からバイクで走るときは東西方向ではなくて北に向って走るのが定番です。
理由は2号線を東西方向に走ると必ず渋滞に巻き込まれるし、朝方東に向かうor夕方西へ向かうと太陽がまぶしい。その点南北に走ると渋滞も最小限でまぶしくもない。
それに日本海に抜けると何とも言えない達成感があって、水平線を背景にバイクの写真を撮ると実にいい感じになるんですよね。
そんなわけで、AX-1ではよく日本海まで抜けるツーリングをやってたのですが、実はジュリオではやったことがなかった。

ゴールさせると決めたらね、どうもそのことが気にかかってしょうがない。擬人化して言うなら「何とかしてジュリオに一度日本海を見せたい」。これ。

アイドリングが1分以上維持できず、始動はセルとキックの合わせ技で苦労してなんとかかかる感じ。走行中のエンストも時々アリ。エンジン音もジャリジャリうるさい。クラッチはズーズー引きずり音が酷くて、ヘッドライトも時々点いてなく、HIとLOをカチカチ切り替えてると復活する感じ。鍵穴の中のプラスチック部品が崩壊してて鍵が差さらなくなったりとか。
そんな状態で日本海を目指すとか、かなり無謀だなーと思うのですが、もうね、前も書いたと思うけど、思いついたらやらなきゃ後悔すること必至。やるしかないのです!
三原から美保関 というわけで、計画ルートはこちら。

以前AX-1で行って、一番印象に残っている場所。すごく綺麗な空と雲が撮影できた、美保関灯台を目指します。往復約400km。

あいにく天気はそこまで良くないですが、今回はとにかく「たどり着く」のが目標。なんとかして着ければそれでヨシ!

正直、途中でリタイアする可能性も結構あるので、往路がなんとかなれば、帰りは電車でもいいや、あとでノアで取りに行けばいいやくらいに思ってました。
出発するよー 出発直後。朝8時ごろ。
朝方は結構天気良かったんですよね。
メットインには工具類がぎっしり入っています。

本郷から県道343に入り、曲がりくねった上り坂を登っていきます。あんまりスピードも出ませんが、一応順調に走って峠を越しました。

最初のエンスト地点 ところが、大和町に入って長い下り坂を下りきった1分後くらいに、まさかのエンスト!一気にブルーになりました。まだたったの15キロなのに!!

セルとキックで必死に始動を試みましたが、まったくダメ。焦る焦る。近くに農作業のおじさんがいて不思議そうにこっちを見てます。

でもなんか、キックの音の雰囲気的にシリンダー云々じゃなくてスパーク飛んでない感じ?
とりあえずプラグをチェックしようと思い、工具を出してメットインの内張りを外すと…
抜けてる。 プラグコード抜けてる〜!

40,000km走ってこんなトラブルは初めてですよ。
走行中の振動で抜けるもんかなあ…ケーブルの取り回しが変になってたのかも。
でも一発で原因がわかったので良かったです。ロスは10分少々ですみました。

いやー本気でリタイアになるかと思った。止まった瞬間はものすごいガッカリ感でしたよ。その分エンジン掛かった時には「よっしゃー行けるぜー!」ってテンション上がりまくりでしたが。
三次に到着 その後豊栄から375号線に入り、1時間ほど走って三次市街に到着。時刻は予定より少し遅れて9:50。
アイドリングはやっぱりダメですが走ってれば大丈夫。エンジンノイズがすごいけど。

灯台まであと150kmです。がんばれジュリオ!
54号に入ると、車のペースがかなり速いので、路肩を控えめな速度で走りながら「車が抜きやすい走り」を心がけます。登りはあんまりスピード出ないし。

54号はトンネルも結構あります。路肩の狭いトンネルはちょっと怖いです。地元の原付の人はこれ走ってるのかなあ、怖くないのかなあと思ったりした。

AX-1のときはまったく感じない感覚だったので、やはり2輪車にとって「車の流れに乗って走れる」ということは安全面でも重要だとあらためて思います。
30km/h制限の50cc原付というものがあるのが良いのか悪いのか、長く議論されてきたテーマですが、車の免許のおまけに付くのが50ccというのはどうにもちぐはぐだよなー。どうしてもおまけをつけたいんなら、速度もレーンの使い方も車に近い感覚で公道を走れる排気量のバイクの免許にするのが筋ってもんじゃないかなあ。100〜250あたり? 50〜100は全く違う運転技術や危険回避やマナーを要する乗り物なので乗りたい人は別途免許取ってください、ってのでもいいのでは。
道の駅とんばら えー話がそれましたが、ジュリオ君は道をそれることなくさらに50km走って、10:45頃、道の駅とんばらで一服。

ここまでくればあと100km。
なんとかいけるんじゃない?という気がしてきて、この後ちょっと調子に乗って全開で飛ばしたりしてたのですが…
雲南市に入り、目的地まであと70kmほどという所で、なぜかスピードが50km/hくらいしか出なくなる。
マズイなと思って休み休み走ったりしたのですが、速度はどんどん落ちる一方!

そしてとうとう…エンスト。かかりません。
またプラグコードかも?と思って見てみましたが、ちゃんと差さってるし、ギュッとはめ直しても変化ナシ。

ああー、ついに止まったよ。
終わったか。今度こそ本当に終わったか。
10kmくらいなら、目的地まで押して行くとかいう根性技も使えるかもしれないけど、70kmは無理。さすがに無理。

でも、一応、一通りチェックして試して、ダメならゲームオーバーって事で諦めよう。
そう思ってまずプラグを外すと…
なんじゃこりゃー!!!

プラグの正極の周りに、灰色のスラッジがびっしりこびりついて、覆いつくしてる。
今までこんなの見たことないよ!

(なお、この時はかなり混乱した精神状態だったため、撮るのを忘れて写真はありません)

色的には、ほんとに灰。バーベキュー終わった後に残る時々黒いものが混じった白い灰みたい。ただし触るとホロホロ崩れるようなやわらかいモノじゃなくて、もっと固くてこびりついてる感じ。

マイナスドライバーの先で慎重にそれを削り落として、極を露出させて、装着して始動してみると…

キック数発の後、なんとかかかった!

最初は少し不安定な感じもありましたが、少し走っていると正常に…というか出発時の状態に回復したようで、行ける!って感触を得まして、もう嬉しくて涙が出るかと思いました。
宍道湖まで来たどー その後はあまり飛ばさず走り、11:50頃、とうとう宍道湖に到達。ついに日本海に抜けたー!という実感がわいてきますが、よく考えたら宍道湖は湖であってまだ日本海ではない罠。
宍道から松江までは結構信号があるので、アイドリングが維持できない症状がやっかい。「止まったらすぐエンジンを切って、路肩によけて、青になったらキックで再始動」or「信号待ち中に時々ブンブン吹かしてエンスト回避」を使い分けながら進んでいきました。周囲に人がいる場合は基本的にエンジン切ってました。
ポプラでおにぎり お昼すぎたので、コンビニに寄っておにぎりとお茶を買いました。
空模様がちょっと心配な感じになってきた。
時々ポツポツっと来たけど、結局ひどく降られることはなく、順調に距離を伸ばしていきます。(信号では難儀するけど)

松江からはずっと遅い車のうしろについて辛かったですが逆にいたわり走行になってよかったかもしれない。

そして、13時30分、出発からおよそ5時間半後。
到着。脱力。 来ました。ついに来ました美保関灯台。

AX-1で来た時のようなキレイすぎる空と海という感じではありませんが、何とか来れたと思うと力が抜けて頭がボーっとしました。

イヤッホオォォォウ!という感じより、何か脱力感とか寂しいような気持ちが大きかった気がします。まあ、最後と決めた目的地なので…

しかし、何はともあれ、着けて良かったです。ジュリオ君偉い。ホント偉いぞ。
その後は例によって超短期滞在。灯台まで行ってちょっと海見て、ベンチでおにぎりとお茶で昼を済ませ、あとは復路を一目散です。

来る途中に2回ストップしたので予定より1時間程度遅れてます。ヘッドライトも時々不安定なので、できれば真っ暗になる前に帰り着きたい。

でもまあ、来れたから、いいか。もういつ止まってもいいや!と思う気持ちもあり、帰りは来る時よりずっと気楽です。

ところが皮肉なもので、なぜか帰りは来る時より調子が良くなってる感じ。吹け上がりもスムーズだし、アイドリングの持続時間も伸びてきてる。
というわけで、どんどん距離を稼いで、来るときにも寄った道の駅とんばらで家族にお土産のドーナツを買い、さらに三次を目指して走る。きわめて順調。

ナフコで助かった ところが三次市街に入ってしばらくしたところで、突然の雨。あわててナフコの駐輪場へ退避。

雲の感じが通り雨っぽく、結構ザーザー降るので、しばらくナフコで家具とか見ながら雨宿りをさせてもらいました。三次のナフコはテーブルとか椅子とかの家具が充実してます。
ダムで記念撮影 30分ほどで小降りになったので、出発。

帰りは少しだけ往路とルートを変えて白竜湖とダムを見て、残り約20kmってところ。時刻は18:18。この時点でもうほぼ帰り着いた気になっている私。
「しかし最後の数キロで大変な事態が!」というようなこともなく、18:50頃、無事?ジュリオは僕を自宅まで送り届けてくれました。400km、約11時間の旅でした。

トラブルもあったけど、なんとか予定の行程を走破できました。ありがとうジュリオ。

というわけで、ジュリオ最後の冒険の報告は、おしまいです。
ジュリオに関するまとめというか、回顧録は、またあらためて書いてみたいと思います。

【ジュリ吉】
すごいですね 400キロこちらは100キロで...なのに まだまだ先が見たいです 今まで 色々と楽しく又参考にさせて頂きました。

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